二つの貸家を同じ電話や車で管理していると、共通費用をどちらへ入れるか迷います。両方の物件へ全額を入れれば、合算したときに費用が二重になります。共通経費そのものと、物件別に割り振った内訳を分けて残しましょう。

目的は、どちらの物件にどの程度の負担があるかを見ることです。見かけの利益をそろえるために、毎月好きな割合で費用を動かすことではありません。

直接費と共通費を最初に分ける

A物件の給湯器修理のように対象が明確なものは、まずA物件へ直接記録します。共通の管理ソフトや、複数物件の巡回に使った費用などは共通費として管理し、内訳を作ります。何でも均等割りにすると、大きな個別工事まで別物件へ流れてしまいます。

支出の種類管理の方法
一物件の修理等対象へ直接計上
複数物件に共通総額と配分内訳を保存
私用を含む支出先に業務上の部分を区分
自分の口座間の移動新たな経費とせず資金移動を記録

ここでの物件別管理と、税務上の必要経費の判断は役割が違います。個人・法人をまたぐ支出や、家族間の精算がある場合は、その契約・取引自体も別に確認してください。

私用部分を除いてから物件へ割り振る

説明用に、通信費1万円のうち、利用記録等から業務分を7,000円、私用分を3,000円と区分できたと仮定します。業務分をA物件とB物件へ3対2で配分する管理例なら、Aは4,200円、Bは2,800円、合計7,000円です。

この割合が一般的に認められる基準という意味ではありません。私用との区分も、物件間の配分も、支出の性質と記録に沿って考えます。国税庁は、家事関連費について、業務遂行上直接必要な部分を明確に区分することを案内しています。

配分の基準と変更理由を残す

管理ソフトの物件数、点検に使った時間、巡回経路など、支出と関係のある基準を選びます。全部を床面積で割れば正解ではありません。対象物件が増減したときや、実際の利用が変わったときは基準を見直し、いつから何を変えたかを書きます。

少額の費用を細かく測りすぎると、管理の手間が上回る場合もあります。合理的に説明でき、続けられる方法を税理士とも確認しましょう。赤字物件を良く見せるために、その月だけ負担を減らす運用は避けます。

全体の帳簿と物件別表を突き合わせる

通信会社へ1万円払った取引と、A・Bへの配分は別の支払いではありません。全体帳簿へ通信費を記録し、物件別表へ4,200円と2,800円を表示したなら、全体集計で共通費7,000円をさらに足さない設計にします。総額と内訳を両方足すことが二重計上の原因です。

A用口座から共通口座へ4,200円を移した場合も、その移動だけで新たな通信費が発生したわけではありません。精算の記録として元の支出番号へつなぎます。借入元本、預金積立、設備投資など、現金支出と経費が一致しないものも分けます。

まず共通費を一件選び、支払総額、業務分、物件別配分、合計確認の四欄を作ってください。物件別に割った額が全体と一致すれば、合算しても費用を増やさず、それぞれの収益を見直せます。