賃貸経営の月次収支は、通帳、管理会社の報告、請求書を照合し、物件と対象月が分かる形でまとめます。まず現金の動きを把握し、そのうえで税務上の帳簿へ適切に反映しましょう。この二つは、同じ数字になるとは限りません。
家賃が入って、修繕費が出て、税金も払った。通帳を見れば分かると思っていても、年末になると「これは何の支払いだったか」と迷います。少しずつ記録する方が、後から一年分を思い出すより楽になります。
最初に、物件と書類を結び付ける
請求書や領収書には、物件名、内容、支払日を確認できるメモを付けます。原本の情報を変えるのではなく、整理用の記録として残してください。
複数の家をまとめて修理した場合は、内訳が分かるか業者へ確認します。私生活の買い物と混ざっている支出も、事業分を説明できる資料が必要です。
国税庁は、不動産所得のある人について記帳や書類保存を案内しています。使う方法は表計算でも会計ソフトでも、後から取引をたどれることが大切です。
一行に、最低限の項目をそろえる
| 項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 日付 | 取引日と、必要に応じて支払日 |
| 物件 | どの家の収支か |
| 相手・内容 | 支払先、工事や家賃の対象 |
| 金額 | 収入、支出、預かり金等の区別 |
| 証拠資料 | 請求書や報告書の保存先 |
「修繕費」とだけ書くより、「給湯器の点検」など内容を残すと、税務処理の確認や翌年の修繕予算にも使えます。
送金額だけを家賃として記録しない
管理会社からは、家賃から管理料などを引いた金額が送られることがあります。その送金だけを見ていると、家賃と経費の内訳が分かりません。
例えば家賃6万円から管理料3,000円が控除され、5万7,000円が送金された仮例なら、家賃と管理料の両方を把握します。管理報告の内訳を通帳と照合しましょう。
未入金の家賃がある場合も、入っていないから税務上の収入が必ずゼロになるとは限りません。国税庁は、家賃の収入計上時期について契約上の支払日などを基準とする原則を示しています。現金の表と申告用の処理を区別してください。
借入返済と預かり金を分ける
返済額には元本と利息が含まれます。国税庁の案内では、元本に相当する返済額は必要経費になりません。返済予定表で内訳を確認し、全部を経費に入れないようにします。
一方、資金管理では元本返済も口座から出るお金です。利益が出ているのに現金が増えない理由を知るためにも、両方を把握します。
敷金などの預かり金も、家賃と同じ収入として自由に使う扱いにしません。返還や精算の条件に応じて区分し、税務の処理も確認します。
月末に、三つの照合をする
- 家賃の予定と、管理報告上の入金が一致するか。
- 管理報告の送金と、通帳の入金が一致するか。
- 支出に、内容を説明できる書類がそろっているか。
分からない項目は、適当に科目へ入れて終わらせず、「確認中」として質問を残します。大きな工事は、その年の経費になるか、資産として扱うかなどの判断が必要なこともあります。税理士などへ内容を示して確認してください。
数字を締めたら、次月の支払いを見る
今月の残高だけでなく、来月の税金、保険、予定工事も確認します。自由に使える金額と、支払いのために残す金額を分けておくと、急な出金に対応しやすくなります。
毎月の締め日を決め、未確認の書類を集める時間を取ってください。複雑な分析より、同じ順番で続けることが役立ちます。
まず今月の支出を三件選び、通帳から請求書までたどれるか試してみましょう。月次記録は申告のためだけでなく、次の判断に使える経営の記録になります。
