物件が二つ、三つと増えたら、銀行口座の合計残高だけで余裕を判断しないようにします。返す可能性のある預り金、近い将来の工事代、返済用の資金が混ざっているためです。物件別の収支と、全体の資金予定を両方見る仕組みを作りましょう。
口座を分けるだけでは解決しない
物件ごとに口座を設ければ入出金を追いやすくなりますが、数が増えると確認の手間も増えます。一方、一つの口座でも、すべての取引に物件番号を付ければ集計はできます。金融機関の条件や管理会社の送金方法も確認し、続けられる方法を選びます。
重要なのは、何の入金で、何に使うお金かを説明できることです。口座数を増やしても、送金元や工事先の記録がなければ、残高の意味は分かりません。
残高を四つの用途に分ける
| 区分 | 確認する内容 |
|---|---|
| 預り金 | 敷金等の残高と対象契約 |
| 近い支払い | 返済、税・保険、発注済み工事 |
| 将来の準備 | 修繕や空室に備える資金 |
| 追加判断に使う資金 | 上記を考慮して残る範囲 |
この表は内部管理の区分例であり、特定の口座分別を一律の法的義務として示すものではありません。管理会社へ預けている金銭は、委託契約と報告資料でも確認します。
同じお金を二つの物件で頼らない
仮に口座残高が100万円あり、A物件の工事予定40万円、B物件の返済等の準備20万円、敷金等の預り金20万円が含まれているとします。単純に差し引くと、未配分は20万円です。これは仮例で、所得税等や他の将来支出は別途確認が必要です。
A物件の予備資金を100万円、B物件の予備資金も100万円と考えると、実際の残高より余力を大きく見てしまいます。各物件で必要な金額を積み上げ、全体の現金で対応できるかを確認しましょう。
物件間の資金移動を売上にしない
同じ事業者が管理する口座間で資金を移した場合、家賃収入や工事費のように集計しないようにします。移動元と移動先に同じ番号を付け、合計の収支では二重に数えない形にします。
一方、所有者が異なる物件や、個人と法人をまたぐお金の移動は、単なる内部振替とは限りません。貸付、立替、精算などの関係を資料で確認し、必要な処理を専門家へ相談します。「家族の物件だから同じ財布」で済ませないことが大切です。
共通費用の配分方法を決める
複数物件を一度に見回った交通費や、共通の管理サービスなどは、どの物件へ配分するかの基準を残します。毎月の見栄えに合わせて変えると、物件別の比較ができなくなります。実態に合う方法を選び、税務上の扱いは別途確認します。
配分の前後で合計額が変わっていないかも確かめます。管理報告で費用控除後の送金額を記録し、さらに同じ費用を支出へ加えるような二重控除にも注意しましょう。
月一回、残高と予定を照合する
物件別の入金、支出、預り金、支払予定を確認し、口座残高とつながるかを見ます。未入金や未払いがあれば、収支表とは別に追えるようにします。家賃が多い物件ほど余裕があるとは限らず、大きな工事予定が控えている場合もあります。
まず各物件の次の三か月の支払予定を一覧にしてください。その合計と預り金を口座残高に重ねて見ると、新しい購入へ回す前に残すべき資金が見えてきます。
