今年はずっと入居していたから、稼働率は100%。そう聞くと、家賃も満額入ったように感じませんか。フリーレントや減額があれば、契約が続いた期間と家賃の発生額は一致しません。どの数字を見ているのか、最初に定義をそろえましょう。

戸建て一戸の管理でも、この区別は役立ちます。募集の問題、契約条件の問題、入金の遅れを分けられるため、次に確かめることが具体的になります。

稼働率という名前だけで比較しない

一般に物理的な稼働率では、賃貸可能な面積や戸数に対して、契約中の部分がどれだけあるかを見ます。面積で計算する資料も、戸数で計算する資料もあります。月末一時点の数字と、一年間の平均も同じではありません。

経済的稼働率という呼び方も、資料によって計算範囲が異なります。実際の公表資料には、フリーレント対象の面積を控除して計算する例があります。一方、収入の金額で管理する方法もあります。名前が同じだから数値を直接比較できるとは考えず、分子・分母・期間を読みます。

一戸の契約と家賃を同じ年で並べる

説明用に、月額家賃6万円、対象期間十二か月の戸建てを考えます。年初から契約が続き、そのうち二か月は家賃免除、残る十か月は満額が発生したと仮定します。共益費等はなく、契約月と対象月が一致する単純例です。

見たいことこの記事の計算結果
期間上の契約状況契約十二か月÷対象十二か月100%
基準家賃に対する発生額発生60万円÷基準72万円約83.3%

この表は記事独自の管理例です。戸建ての日割りがある年は月数を丸めず、契約日数や対象家賃の明細から計算します。購入前の期間を含めるかも決め、物件ごとに基準を変えないようにしましょう。

発生した家賃と入金した家賃を分ける

上の60万円のうち、年末時点で6万円が未収なら、年内入金は54万円です。60万円が発生した事実と、54万円を受け取った事実は別です。未収分を翌年回収したとき、翌年分の家賃と混ぜると収入の状態を読み違えます。

入金で把握したい場合は「対象年分の回収額」と明記し、発生額に対する回収状況も別に残します。保証会社からの支払いがあれば対象月を照合し、本人入金と二重に足さないようにします。この管理表は税務上の収入計上時期を決めるものではありません。

基準家賃を変えたら理由を残す

分母を現在の契約家賃にするか、市場調査から置いた想定家賃にするかで割合は変わります。低い家賃を基準にすれば100%に近く見せることもできるため、数値を良くするために基準を動かさないことが大切です。

運営費や返済は、この家賃の割合からさらに別に差し引きます。稼働率が高くても、工事費や返済が重ければ手残りは小さくなります。逆に数字が下がった場合も、空室・免除・未収のどれが原因かで対応が変わります。

まず報告書の稼働率に、何を何で割った数字かを書き添えてください。契約、家賃発生、入金の三段階をそろえると、満室という言葉だけでは見えない課題を確認できます。