空室期間の収支は、「入らなくなる家賃」と「実際に口座から出ていくお金」を分けると整理できます。1か月、3か月、6か月と期間を変え、どの時点で手元資金が足りなくなるかを見ておきましょう。

満室の年間収支では余裕があった。それでも退去が出ると、急に不安になることがあります。戸建て一軒なら、その家の入居がなくなると家賃収入も止まるためです。想定をつくっておけば、焦って判断する場面を減らせます。

空室でも続く支出を拾う

最初に、入居の有無にかかわらず必要な支出を確認します。税金や保険は支払月が偏るため、年間額を月割りした表と、実際の支払日を入れた表を分けると分かりやすくなります。

  • 借入の返済があるか。
  • 税金、保険、管理などの支払いはいつか。
  • 見回り、通電、庭の手入れなどに何が必要か。
  • 退去後の工事や募集に、一時的にいくら使うか。

管理料は空室中の扱いが契約で異なることもあります。入居時と同額だと決めつけず、契約を見てください。

「失った家賃」を二重に引かない

家賃が月6万円で、空室中の現金支出が月2万円だと仮定します。1か月空くと予定家賃は6万円減り、口座からは2万円が出ます。

このとき、もともとの残高から8万円を引く資金表にすると、入ってこない家賃を現金流出として重ねて扱うことになります。資金残高の表では、収入をゼロ、支出を2万円と置きます。満室の場合との差を比べる表とは分けましょう。

利益の比較と、支払えるかどうかの確認。目的が違う二つの表を混ぜないことがポイントです。

月数を変えた簡単な試算

次は、空室時に使える現金50万円、退去後の工事等15万円、空室中の支出が月2万円という仮例です。家賃収入はゼロとし、他の追加支出はないものとします。

空室期間支出累計残る現金
1か月17万円33万円
3か月21万円29万円
6か月27万円23万円

これは安全な資金額を示す表ではありません。借入返済や大きな修繕があれば結果は変わります。自分の支払予定に置き換え、税金などが来る月の残高も確認してください。

家賃が再開する日まで考える

申し込みが入った日と、家賃が発生する日は同じとは限りません。審査、契約、工事、入居日などの予定を確認し、収入を見込む月を決めます。

募集条件に家賃の無料期間などがある場合は、その条件を資金表へ反映します。申し込みがあるから大丈夫と考えて、予備資金を別の用途へ使わないようにしましょう。

同時に、敷金などの預かり金は自由に使える家賃と混ぜず、別に管理します。口座残高の大きさだけで余裕を判断しないことが大切です。

資金の限界より前に、見直す日を決める

空室が長引いてから一度に値下げするより、募集の状況を定期的に確認します。例えば二週間ごとに写真、問い合わせ、内見結果を確認するなど、物件と地域に合う間隔を仲介会社と決めます。

  • 問い合わせが少ない原因を、どの情報で確かめるか。
  • 追加工事と家賃変更の費用を、どう比較するか。
  • 支出が想定を超えたとき、どこから資金を補うか。

値下げによって必ずすぐ入居が決まるわけではありません。変更後も空室が続くケースを残しておくと、楽観的な試算に偏りにくくなります。

まずは一枚、入金ゼロの表をつくる

家賃欄にゼロを入れるのは、気分のよい作業ではないかもしれません。でも、耐えられる期間が分かると、次に必要な準備が見えます。

空室は、精神論で乗り切るものではありません。支出と残高を把握し、早めに募集と資金の両方を見直す。そのための表を、入居中からつくっておきましょう。