予算内で買える二つの空き家があり、一方は家賃が高く、もう一方は手元に現金を多く残せる。どちらを選ぶかは、表面利回りだけでは決められません。物件へ使う資金と、購入後にも残す資金を分けて比較しましょう。

安く買えることは魅力ですが、必要な工事を抜いた予算では比較になりません。同じ時点、同じ費用範囲で二案を並べるところから始めます。

物件費用と手元現金を同じ表に並べる

ここでは自己資金500万円、借入なしの仮定です。購入代金、取得諸費用、当初の工事までを物件への投下資金とし、未使用分は預金に残します。金額は説明用であり、実在物件の収支や市場相場ではありません。

比較項目A案B案
物件への投下資金400万円300万円
予算から残す現金100万円200万円
通年の家賃収入72万円60万円
通常の年間運営支出18万円15万円
差引額54万円45万円

差引額は家賃から上の運営支出だけを引いたものです。大型設備投資、所得税等、売却、預金利息は含まず、税務上の所得でもありません。二案とも一年間入金がある状態を仮定しています。

率と金額を両方見る

投下資金に対する差引額の割合は、A案が54÷400=13.5%、B案が45÷300=15%です。この範囲ではB案の率が高い一方、一年の差引額そのものはA案が9万円多くなります。高い率と大きな金額は同じ意味ではありません。

予算全体500万円で割るならA案10.8%、B案9%ですが、それは未使用現金を含む別の比較です。物件利回りの分母と途中で入れ替えないようにします。残した現金へ別の運用益があるなら、物件の家賃に足さず、条件を明記した別欄で扱いましょう。

余力は必要な支払いと比べる

同じ時点で60万円の追加修理を支払う仮定なら、家賃入金前の手元現金はA案40万円、B案140万円です。修理が必ず60万円になるという予測ではありません。支払いへの耐え方を見るため、同じ金額を置いた比較です。

実際には二物件の設備状態が違うので、同額のストレスだけで結論を出しません。工事見積もり、設備年数、保険、未確認箇所を基に、それぞれ必要な金額と支払月を並べます。自由に使える現金と、税金・敷金返還等のために確保する資金も区別します。

初年度の期間と管理負担を追加する

A案が工事で三か月貸せないなら、通年の72万円を初年度の受取額として使うことはできません。B案もすぐ入居が決まるとは限りません。家賃開始と工事・取得費の支払月をそろえた資金表を、通年比較とは別に作ります。

移動時間、仲介会社の対応範囲、駐車や道路の条件なども確認します。手元現金が多いだけで、権利や建物の未解決課題を受け入れてよいという意味ではありません。公庫の資金計画も、設備に使うお金と運転資金を整理する構成になっています。

まず二物件の比較表へ「買った後に残る現金」を一行追加してください。率、年間の差引額、支払月の三つを並べると、自分の資金計画に合う方を理由とともに判断しやすくなります。