家賃が下がり、空室が増え、修理も重なったら。厳しい条件をまとめて試すことは大切ですが、それだけでは何が収支を大きく変えたのか分かりにくくなります。最初は一つの条件だけを変え、影響を並べてみましょう。

これが感度分析の基本的な使い方です。難しい予測を当てるより、「どの数字を詳しく調べるべきか」を見つけるために使います。

最初に比較の基準を一つ作る

例として、月額家賃6万円、年間の空室なし、運営支出18万円、元利返済24万円を仮定します。年間家賃72万円から二つの支出を引くと、残りは30万円です。ここでは入金と支出が年内に行われるものとし、大型設備投資、所得税等、売買は含めません。税務上の所得や投資全体の利益を求める計算でもありません。

家賃の根拠、支出に含むもの、返済予定を表の上に書きます。未収や管理料の控除がある場合は、同じ定義で組み直してください。基本の表が曖昧だと、条件を変えても比較の意味がなくなります。

変更する欄は一行に一つだけ

試す変更ほかの条件年間の残り基準との差
基準上の仮定30万円なし
家賃が月5,000円下がる空室なし・支出は同じ24万円6万円減
家賃を受け取らない月が一か月増える月6万円・支出は同じ24万円6万円減
運営支出が年5万円増える家賃72万円・返済24万円25万円5万円減

家賃減額の行は、5万5,000円×12か月=66万円から18万円と24万円を引いています。空室の行は6万円×11か月=66万円です。実務では管理料などが変動する場合もありますが、この例では影響を切り分けるため一定としました。

変化の大きさと起こりやすさを混ぜない

表は「この条件ならいくら変わるか」を示すもので、どの条件が起こる確率が高いかを示していません。家賃5,000円の差が現実的かは、近隣の成約状況や物件条件を調べる必要があります。修繕費も設備状態や見積もりへ戻って確認します。

単位もそろえましょう。家賃は月額の変化、修繕は一回の支出、金利は返済条件に応じた変化です。「それぞれ一割動かした」だけでは、同じ重みの問題とは限りません。変えた理由を一言添えると、次の調査が具体的になります。

影響をつかんだ後に重ねて試す

家賃5,000円減と、減額後の家賃を受け取らない一か月が重なるなら、家賃は5万5,000円×11か月=60万5,000円です。さらに運営支出が5万円増えて23万円となれば、返済24万円後は13万5,000円です。最初の表の減少額をそのまま足すと、空室月の家賃差を重ねてしまいます。

組合せでは元の式から計算し直します。年間の残りが正でも、大きな支払いが先に来る月は別に確認してください。公庫の収支計画も、予測の根拠、経費の漏れ、返済を点検する考え方を示しています。

まず基準表を複製し、一か所だけ数字を変えてみましょう。結果が大きく動く項目と、根拠が弱い項目が重なるところから確認すると、調査の優先順位を付けやすくなります。