空室に耐えられる計算でも、その間に修繕が重なると資金は大きく減ります。購入前には、空室、家賃下落、工事支出を同じ表で動かしてみましょう。未来を当てるためではなく、厳しい条件で何を見直す必要があるかを知るための試算です。

一項目ずつの確認だけでは足りない

家賃が下がる場合、空室が続く場合、給湯器等を交換する場合。それぞれを単独で計算すると問題が小さく見えることがあります。退去時には募集費用や修繕が同時に発生し、家賃収入も止まります。

ただし、考えられる悪条件を際限なく足せば、どの物件も買えなくなります。物件の状態、過去の募集期間、見積りなどを根拠に、基本ケースと厳しいケースを作ります。数字を置いた理由を残すことが大切です。

前提を先に固定する

以下はすべて仮定です。家賃は月5万円、年間の固定的な運営支出12万円、元利返済24万円、受取家賃に比例する費用5%とします。固定支出にはこの例の保険・税・固定管理費を含み、所得税等、売却、その他の大規模工事は除きます。

基本ケースは受取12か月、臨時修繕なし。厳しいケースは家賃を10%下げた4万5,000円で受取9か月、追加修繕20万円とします。修繕額や空室期間は相場ではなく計算のための設定です。

項目基本厳しいケース
年間家賃60万円40万5,000円
家賃連動費5%3万円2万250円
固定支出と返済36万円36万円
追加修繕0円20万円
差引現金収支21万円マイナス17万5,250円

厳しいケースでは、40万5,000円−2万250円−36万円−20万円です。会計上の利益や税額を求めた表ではありません。除外した支出が実際に発生すれば、さらに資金が必要です。

年間赤字だけで必要資金を決めない

赤字17万5,250円を用意すれば十分とは限りません。修繕20万円の支払いが最初に来て、その後三か月家賃が入らなければ、途中の残高は年間末より厳しくなる場合があります。月ごとに入金と支払日を並べ、最も残高が低い時点を見ます。

敷金など返還の可能性がある預り金を、自由に使える予備資金として数えないようにします。家計の生活資金や、別物件ですでに予定している工事資金も、重複して余力に含めないことが必要です。

数字の結果を行動につなげる

  • 修繕見込みが大きいなら、購入前の調査を増やす。
  • 家賃下落で苦しいなら、取得費や返済条件を見直す。
  • 支払月に不足するなら、支払条件と資金準備を確認する。
  • 余力を確保できないなら、購入時期や物件を再検討する。

ストレス試算は、怖い数字を並べる資料ではありません。弱い条件が見つかったら、何を変えられるかを整理します。楽観的な家賃に戻して赤字を消すだけでは、確認した意味が薄れてしまいます。

見直す条件は少なく始める

まず空室月数、家賃、臨時修繕の三つに絞ってください。固定費と返済はそのままにして、厳しいケースの年間収支と最低残高を確認します。地域や物件の調査が進んだら前提を更新し、確認日を残しましょう。