借入残高に対して、物件の価値がどれだけあるのか。融資の説明でLTVという言葉が出ることがあります。利回りとは別の指標なので、家賃が高いことだけでこの割合も低いとは限りません。
まず分子に入れる借入と、分母に使う物件価値を明記することから始めましょう。計算した割合だけを見て、融資が受けられる、返済できると決めないことが大切です。
借入と価値の比率を表す
不動産証券化協会の用語集は、LTVを、対象資産の価値に対する有利子負債の比率として説明しています。一軒の例を単純化すれば、対象とする借入残高÷対象物件の価値×百で割合を求めます。
ただし、取得価格、鑑定評価額、金融機関の担保評価、帳簿の資産額は同じ数字ではありません。説明を受ける際は、何を分母にしたLTVなのかを確認します。自己資金がいくら必要かを直接示す数字とも限りません。
同じ借入でも分母によって変わる
| 仮定する借入残高 | 仮定する物件価値 | LTV |
|---|---|---|
| 三百万円 | 五百万円 | 六十% |
| 三百万円 | 四百万円 | 七十五% |
| 三百万円 | 三百万円 | 百% |
すべて説明用の仮定です。価値の見方が変われば、借入残高が同じでも比率は変わります。評価額を高めに置いて割合を低く見せても、実際にその金額で売れる根拠にはなりません。
評価額と売却代金を同一視しない
仮に評価額五百万円、借入三百万円でも、差額二百万円がそのまま手元へ残るわけではありません。成約価格、売却費、返済手数料、税金等を別に確認する必要があります。売るまでに必要な時間と維持費もあります。
貸し出し中の状態や道路条件等によって、買う人の選択肢も変わります。担保評価があることを、現金化できる時期や金額の保証として扱わないようにします。
家賃から返済できるかは別の表で見る
LTVが低くても、空室で家賃が入らなければ毎月の返済資金が必要です。家賃、運営費、元本と利息の返済を並べ、修繕や空室への備えを確認します。低いLTVが設備修理の支払いを代わりにしてくれるわけではありません。
反対に、家賃の収支が良く見えても、評価や売却価格が下がる影響は残ります。保有中の現金と、借入に対する資産価値を異なる角度として見ます。
複数の担保がある場合は対象範囲をそろえる
ほかの物件も担保に入っている場合、一軒の売出価格と借入全体を単純に割っても、金融機関の説明と一致しないことがあります。どの借入に、どの担保が関係し、売却時にどう扱うかを金融機関や司法書士等へ確認してください。
一律に何%なら安全、という線を自分だけで決めるのではなく、計算範囲と評価時点を記録します。個別の審査基準も金融機関ごとに確認が必要です。
まず返済予定表と評価資料をそろえ、日付、残高、評価の目的を一枚へ書いてください。LTVを同じ条件で比較できれば、利回りだけでは分からなかった借入の大きさを確認できます。
