「固定資産税評価額より安く買える」と聞くと、お得な物件に感じることがあります。しかし、評価額と売買価格は目的も決まり方も違います。差があることだけで、割安さや将来の売却価格を判断しないようにしましょう。

空き家には修繕、管理、利用条件など、価格に影響する個別事情があります。評価額は資料の一つとして使い、実際に貸すための支出や周辺の取引情報と合わせて考えます。

価格の名前と使う目的をそろえる

数字確認する意味
固定資産税評価額固定資産評価基準等に基づいて決められる価格
課税標準額税額計算に使う額。評価額と同額とは限らない
売出価格売主が提示する募集段階の価格
成約価格実際の取引条件の下で合意した価格

東京都主税局は、固定資産税評価額を課税の基礎となるものとして説明しています。明細書で価格と課税標準額の欄を取り違えないようにし、どの年度、どの土地・建物の数字かを確かめます。

評価額から一定倍率で売れるとは考えない

吹田市の案内は、評価基準に基づく評価額と、売り急ぎなど当事者の事情も影響する取引価格は単純に比較できないと説明しています。住宅需要が弱い場所や修繕が必要な家では、評価額との大小だけで売却の見込みを判断できません。

説明用の仮定として、土地・建物の評価額合計が600万円、売出価格が450万円でも、「150万円の利益がある」とは言えません。評価額との差額は売却益ではなく、購入後の工事費や諸費用、実際に売れる価格も別に検討する必要があります。

同じ対象と時点で資料を並べる

価格を比べるときは、土地だけなのか建物も含むのか、通路持分や別筆の庭が含まれるのかをそろえます。古い課税資料と現在の販売価格を比べるなら、建物の増減や利用状況の変更がないかも確認しましょう。

周辺の売買事例も、土地面積だけでなく接道、建物状態、時期、賃貸中か空室かなどを見ます。売出中の価格を成約価格と同じに扱わず、仲介会社には比較事例との差の理由を聞いてください。

購入判断は総支出と運用条件へ戻す

評価額より安いことより、必要な工事を含めた総支出が無理のない範囲か、希望する貸し方ができるか、需要を確認できたかが重要です。評価額は税額を検討する資料としても役立ちますが、税額自体は課税条件を確認して見積もります。

まず手元の価格の横に「評価額」「課税標準額」「売出価格」の名称と年度を記入してください。数字の役割をそろえるだけで、見かけの差額に引っ張られずに検討を進めやすくなります。