法人を作れば賃貸経営が有利になるとは限りません。まず、今ある物件をどう扱うのか、次の物件を誰が買うのか、借入と維持費がどう変わるのかを並べましょう。税率の比較だけでは、実際の手残りは分かりません。

家賃が増えてくると、法人化が気になるのは自然です。ただ、設立することと、個人の物件を法人へ移すことは別の作業です。相談前にこの二つを分けておくと、必要な費用を確認しやすくなります。

何を法人に任せるのか決める

既存物件を個人で保有したままにするのか、売買等で法人へ移すのか、新規取得分から法人で買うのか。想定によって、相談内容が変わります。管理業務だけを法人に任せる案なら、業務実態や対価の妥当性なども確認が必要です。

整理する項目相談前の資料
既存物件所有者、取得時期、取得額、帳簿価額
借入契約者、残高、担保、変更・譲渡時の条件
収入と費用実績、修繕予定、今後の取得計画
設立後の支出会計・申告、登記、社会保険等の確認事項

個人から法人への名義変更を、無料の事務手続のように考えないことです。移転方法によって税金、登記、取引費用などを検討する必要があります。

金融機関への確認を後回しにしない

個人名義で借りた融資を、そのまま法人へ移せるとは限りません。物件の所有者変更や借入の引継ぎを検討するなら、契約を確認し、金融機関へ事前に相談します。新しい融資や担保設定が必要になる場合の費用も見積りに入れます。

先に売買や登記の予定を決めてから相談すると、資金計画の組直しにつながります。税理士と金融機関の見解を、それぞれの担当範囲として整理しましょう。

初期費用と毎年の費用を分けて比べる

仮に年間の税負担が12万円軽くなる試算でも、法人化で増える年間費用が18万円なら、その二項目だけでは年6万円の負担増です。さらに初期費用があれば別途加わります。これは計算方法の例であり、一般的な費用相場や節税額ではありません。

建物の売却には消費税の検討が必要になる場合もあります。住宅家賃が非課税であることと、建物の売却の扱いは同じではありません。納税義務や取引内容を含めて確認します。個人側と法人側の税額を片方だけ見ないことが大切です。

法人の現金を家計と混ぜない計画にする

法人に残ったお金を、個人の生活費として自由に扱う前提では比較できません。役員報酬などの設計、資金の出し入れ、記帳と証拠書類の管理も相談対象です。家族へ支払う場合も、実態と制度の確認が必要になります。

まずは「現状のまま」「新規物件のみ法人」「既存物件も移す」の三案を書き、初期支出、年間支出、借入への影響を空欄付きで並べてください。空欄を専門家と埋めることが、自分に合う判断への近道です。