「返金先の口座が変わりました」「今回だけ別口座へお願いします」。そんな連絡を受けたら、振込先を変更する前に、以前から分かっている連絡先で本人へ確認しましょう。メールへの返信だけでは、同じ相手になりすました人物と話し続けるおそれがあります。

退去の精算や工事代の支払は、期限に追われやすい仕事です。だからこそ、急ぎの依頼ほど確認手順を省かない仕組みにしておくと、大家も担当者も迷わず対応できます。

口座変更と支払の承認を別にする

請求額が正しくても、振込先が正しいとは限りません。既存の請求書を加工したものや、取引相手のメールを使った依頼にも注意が必要です。送信者名や過去のやり取りが表示されるだけで安心しないようにします。

確認段階行うこと
依頼の受付対象契約・金額・変更理由を記録
本人への照会契約時の電話番号など既知の経路を使う
口座の照合銀行・支店・種別・番号・名義を確認
送金前承認記録と登録先が一致するか確認

新しく届いたメールの署名欄の電話番号は、確認先としてそのまま使いません。手元の契約書や、従来使っていた連絡先から照会します。

本人名義でない口座は理由と権限を確認する

入居者から「家族の口座へ返金してほしい」と依頼される場合もあります。家族名義だから必ず不正ということではありませんが、返金を受ける権利のある人の意思と、送金先の指定を確認する必要があります。

確認文は「口座変更について、登録済みの電話番号で確認させてください。確認が終わり次第、返金日をご案内します」と、通常の手順として伝えます。担当者の判断だけで例外を増やさないことが大切です。

確認記録には、連絡した日時、相手、確認した内容を残します。本人確認のためであっても、不要な個人情報や暗証番号、ネットバンキングの認証情報を求めないようにしましょう。

一人で管理していても、確認を二段階にする

家族や担当者に照合してもらえる場合は、口座変更と送金を別の人が確認します。一人で行う場合も、変更登録をした直後に勢いで振り込まず、支払前に元の依頼と確認記録を見直す手順を設けます。

仮に敷金返金8万円のうち、既に2万円を精算済みなら、残額6万円の確認と口座の確認は別項目です。金額が合っているから送金先も正しい、とは判断しません。この例は確認手順を示す仮定です。

送金後に気付いたら、銀行へすぐ相談する

不審な口座へ送った可能性がある場合は、送金元の銀行へ速やかに連絡し、組戻しなど可能な手続を確認します。警察への相談と、メールアカウント等の安全確認も進めます。資金が必ず戻るとは限らないため、気付いた時点で動くことが大切です。

まずは支払手順に「変更依頼は既知の連絡先で確認」と一行追加してください。管理会社や家族にも共有し、急ぎの連絡が来た日も同じ手順で確認できるようにしましょう。