家賃と売却を合わせて投資を振り返るときは、取得、保有、売却の現金を一続きにします。借入元本を保有中に引き、売却時にはその時点の残債を引くなど、同じ支出を二重に数えないことが大切です。税務上の譲渡所得とは別の計算として整理しましょう。

物件の成果と自己資金の成果を分ける

まず借入を除いた物件自体の収支を作ります。次に借入の入金、利息、元本返済を加え、自分が出した資金に対して何が戻ったかを見ます。この二つを途中で混ぜると、残債の引き方が分からなくなります。

総投資額に購入代金、取得諸費用、初期工事を含めたなら、後で同じ工事費を保有中の支出へ再計上しないようにします。費用には一つずつ時期と分類を付けましょう。

借入なしの形で全期間を計算する

以下は説明用の仮定です。取得と初期工事等の総支出450万円、保有期間全体で実際に受け取った家賃から運営費・期間中の修繕等を引いた現金が120万円(空室期間の家賃は入金に含めません)、売却代金500万円、売却費40万円とします。所得税等と金利、資金の時間価値は除きます。

段階現金
取得・初期工事等マイナス450万円
保有中の差引プラス120万円
売却代金から売却費控除プラス460万円
全期間の差引130万円

計算は−450+120+500−40=130万円です。この数字は年利回りではありません。保有年数や途中の入出金時点が違えば、同額の利益でも評価は変わります。

借入を使った場合を同じ例に重ねる

取得時に300万円借り、自己資金150万円を出したと仮定します。保有中の利息合計18万円、元本返済60万円なら、売却時の残債は240万円です。追加借入や繰上返済等はない例です。

保有中の返済後現金は120−18−60=42万円。売却時の手残りは500−40−240=220万円。自己資金から見た全期間の差引は、42+220−150=112万円です。借入なしの物件収益130万円から利息18万円を引いた額と一致します。

元の借入額を売却時にもう一度引かない

すでに60万円を返しているのに、売却時にも当初借入300万円を引くと、元本を二重に数えます。売却時点の返済額は、金融機関の資料で確認した残高等を使います。実際には返済手数料や経過利息等も確認が必要です。

また、自己資金150万円を引いた計算へ、取得費450万円をさらに引かないようにします。自己資金ベースか物件全体ベースか、表の見出しに明記してください。

税金と預り金を別に確認する

税務上の所得計算では、元本返済や減価償却、取得費の扱いが現金表と異なります。この総合収益の式をそのまま申告へ使わず、保有中と売却時の税額を専門家へ確認します。税引後を見るなら、実際に対応する税負担を別欄で加えます。

敷金等の預り金や売買時の精算も、家賃利益へ混ぜないようにします。売買代金との相殺がある場合は、どの金額がすでに反映されているかを決済書で照合します。

通帳と資料へ戻れる表にする

各金額の隣に、取得明細、工事請求、管理報告、返済予定表、売却精算書の参照を付けます。推定で置いた数字は実績と分け、確認できない費用をゼロとしないようにします。

まず借入を除いた三段階の表を作り、その後で借入の入出金を重ねてください。家賃だけ、売値だけで判断していたときより、一軒の投資全体で何が残ったかを説明しやすくなります。