利回り20%という表示を見ても、必ず5年で使ったお金を回収できるわけではありません。計算に使った家賃と費用の範囲を確認し、実際に残るお金で考える必要があります。利回りは、まず中身をそろえて読む数字です。

高い利回りには魅力があります。少ない投資額で家賃を得られるなら、検討したくなるものです。ただ、同じ20%でも、購入価格だけを分母にしたのか、工事費まで含めたのかで意味が変わります。

最初に、何を何で割ったかを確かめる

物件情報でよく見かける表面利回りは、年間家賃を物件価格で割ったものです。費用を差し引いていない場合があるため、手残りとは区別します。

「実質」という名前が付いていても、どの支出を含むかは資料で確認してください。借入返済、税金、修繕、空室などがどのように扱われているかが大切です。

  • 家賃は、実際の契約額か、募集想定か。
  • 入居していない期間を見込んでいるか。
  • 購入諸費用と初期工事を含むか。
  • 運営費や借入返済を差し引いているか。

用語だけで比較せず、算式を書いてもらうと違いが分かりやすくなります。

同じ家でも、三つの数字が出る

以下は説明用の仮例です。物件価格200万円、諸費用と初期工事100万円、総投資額300万円、年間家賃60万円とします。借入はなく、年間の運営支出を12万円と仮定します。

見る数字計算結果
物件価格に対する家賃60万円÷200万円30%
総投資額に対する家賃60万円÷300万円20%
運営支出後の収入割合48万円÷300万円16%

最後の48万円も、所得税等や将来の大きな修繕費を引く前です。この表の数字が、そのまま自由に使える利益ではありません。

回収期間も、分子と分母をそろえる

総投資額300万円を、毎年60万円の家賃だけで割れば5年です。一方、運営支出後の48万円で割れば6.25年になります。

どちらも、毎年同じ収入と支出が続き、追加投資がないという単純計算です。途中の空室、家賃の変化、大きな修繕があれば回収は遅れます。税金や売却時の価値も、この計算には入っていません。

つまり「5年で回収」という説明を聞いたら、何を回収し、どのお金を使って計算しているかを確認することが必要です。

借入がある場合は、自己資金の回収と区別する

借入を使うと、最初に出す自己資金が少なくなります。一方、毎年の家賃から返済が出ます。自己資金に対する手残りの割合と、物件全体の収益性は別の数字です。

自己資金が早く戻りそうでも、借入残高がなくなったわけではありません。返済後に残る現金と、残債の推移を確認しましょう。高い自己資金利回りだけで、安全だと判断しないことが大切です。

国税庁の案内でも、元本返済と利息は経費上の扱いが異なります。税務上の利益と現金収支も混ぜずに見ます。

一つの利回りより、条件を変えた表を持つ

家賃が予定より低い場合、数か月空室になる場合、追加工事が出る場合をつくります。そのときも支払いを続けられるかを確認してください。

購入価格を抑えて収支に余裕をつくる考え方は重要です。ただ、価格が安いだけで修繕や需要の問題が消えるわけではありません。高利回りの理由を、建物と地域の条件から確認します。

「何年で回収?」の前に、算式を一行

気になる物件の年間家賃、総投資額、年間支出をそれぞれ書いてみましょう。数字が分からない項目は、ゼロではなく未確認として残します。

利回りは、候補を比較する入口として便利です。その先で、手元に残るお金と追加支出を確かめる。そこまで見て初めて、自分が続けられる投資かを考えられます。