家賃から返済を払って、手元にはあまり残らない。それでも所得が出ることはあります。借入元本の返済は現金を減らしますが、そのまま必要経費にはならないためです。返済予定表を使い、元本、利息、残高を分けて確認しましょう。

一回の返済には二つの中身がある

借入の返済額には、借りたお金を戻す元本と、借入に伴う利息が含まれます。国税庁は、賃貸建物等の取得に係る借入金利子について、元本相当部分は必要経費にならないと説明しています。通帳の引落額を丸ごと経費にしないことが基本です。

利息の扱いも借入の使途などを確認します。生活費との混在や、土地取得に係る利息と損失の扱いなど、個別の確認が必要な点があります。ここでは税額を求めず、利益と現金の違いを見る簡単な例に絞ります。

仮定例で二つの表を作る

年間家賃60万円、その他の必要経費となる支出12万円、利息6万円、元本返済18万円、減価償却費10万円と仮定します。全額が当年の対象となり、家賃の未収、費用の未払、取得・売却や追加工事はないものとします。所得税等の支払いも除いた例です。

見るもの計算結果
所得計算の簡略例60−12−6−1032万円
現金収支の簡略例60−12−6−1824万円

単位は万円です。減価償却費は当年に同額の現金を払うものではなく、元本返済は必要経費に入れていません。この例では、所得32万円に対して、税引前の現金増加は24万円です。

差額を説明できる橋渡しを作る

上の例は、所得32万円に減価償却費10万円を戻し、元本返済18万円を引くと、現金収支24万円になります。ただし、実際には未収家賃、未払金、新たな設備購入、預り金なども動くため、この二項目だけで必ず一致するわけではありません。

大切なのは、利益と残高が違うから間違いと決めず、差の理由を一つずつ追うことです。借入金の入金も売上ではなく資金調達です。口座に入ったお金と収益を同じ欄へ入れないようにします。

毎月確認する資料をそろえる

  • 金融機関の返済予定表と実際の引落額。
  • 元本返済後の借入残高。
  • 家賃の管理報告と通帳の入金。
  • 費用の請求書、支払記録、資産の台帳。

金利変更や繰上返済があった場合は、古い予定表のまま記録しないようにします。元本と利息の内訳を金融機関へ確認し、更新後の資料へ差し替えます。毎月の元本と利息が同じだと決めつけないことも必要です。

税金と修繕の資金を残す

現金が残ったからといって、すべて自由に使えるとは限りません。所得等に応じた税負担や、今後の修繕に備える資金は別に確認します。減価償却費があること自体で、工事代が現金として用意されるわけでもありません。

まず直近一回の返済を、元本と利息の二行へ分けてください。そのうえで、一年の所得見込みと現金収支を並べます。数字の違いを説明できるようになると、返済中の賃貸経営を落ち着いて管理しやすくなります。