「この家賃なら借り手が付きそう」だけでなく、「その家賃で支払いを続けられるか」も確認しましょう。毎月の必要資金から家賃を逆算すると、購入価格や借入条件を見直すきっかけになります。ただし、逆算した額を市場が払ってくれるわけではありません。
まず何を賄う家賃か決める
損益分岐という言葉には、会計上の利益がゼロになる水準と、現金の支払いを賄う水準が混ざりがちです。ここでは後者の簡易計算を扱います。借入元本の返済を含め、減価償却費は含めない、現金基準の必要家賃です。
日常の維持費を払えるだけなのか、将来の修繕用資金も残したいのかで必要額は変わります。所得税等を含めるかも明記し、何を除外した計算かが分かる表を作りましょう。
家賃に連動する費用を分ける
仮に、年間の固定的支出と返済の合計を36万円、入居中の家賃に連動する費用を受取家賃の5%とします。36万円には、この例で想定する税・保険・固定管理支出・元利返済を含め、所得税等、臨時修繕、募集費用は含めません。5%も説明のための仮定です。
12か月分を受け取るなら、家賃の95%で36万円を賄うため、必要月額は36万円÷12÷0.95=約3万1,579円です。小数点以下は切り上げて表示しています。
| 年間の受取月数 | 必要家賃の計算 | 月額 |
|---|---|---|
| 12か月 | 36万円÷12÷0.95 | 約3万1,579円 |
| 10か月 | 36万円÷10÷0.95 | 約3万7,895円 |
| 8か月 | 36万円÷8÷0.95 | 約4万7,369円 |
空室中も固定費と返済が続く前提です。実際の管理契約では最低料金などがある場合もあるので、単純な率でよいか確認してください。
修繕の準備を上乗せする
上の計算は、臨時の修繕を賄っていません。年間12万円を修繕用に確保したい仮定なら、必要資金は48万円です。受取10か月では、48万円÷10÷0.95=約5万527円になります。
この12万円は自分で残す資金で、支払済みの修繕費や税務上の必要経費と同じではありません。実際に工事を払った年に、積立額と工事代を二重に支出扱いしないよう、計算の目的をそろえます。積立で足りない大きな工事は別に試算します。
相場との差が出たら条件を見直す
市場で見込める家賃が4万8,000円なのに、必要家賃が5万円を超えるなら、差を無視して募集額だけ高く設定しないようにします。取得費を下げられるか、必要工事を精査できるか、借入条件は妥当かを検討します。
修繕の準備をゼロにしたり、安全上必要な工事を外したりすれば計算は下がりますが、支出の必要性まで消えるわけではありません。改善できない場合は、購入を見送る選択も含めて考えます。
最低額と、十分な収益を分ける
現金収支がゼロなら、大家の作業時間や想定外への余裕はほとんど残りません。必要家賃は、目標収益を満たす家賃ではなく、検討の下限を知るための数字です。また、毎月一定の支出に直しても、実際の支払月には資金が必要になります。
まず年間固定支出、元利返済、家賃連動費、想定受取月数を四行に書いてください。自分の物件の必要家賃を出し、近隣相場と並べると、調べ直すべき条件が見えてきます。
