工事が始まってから「床を開けると、想定より傷んでいました」と連絡が来る。空き家の改修では、着工前に見えない部分があるため、追加が必要になることがあります。
追加工事への備えは、予備費を置くことと、変更を承認する手順を決めることの両方です。予備費があるから自由に使ってよい、という扱いにしないようにしましょう。
分かっている工事は、最初の見積もりへ入れる
すでに必要と分かっている補修を、予備費へ押し込めると、当初予算が小さく見えてしまいます。確定している工事、追加調査で分かる工事、任意のグレードアップを分けて一覧にします。
例えば、交換すると決めた給湯器は当初見積もり、床を開けないと確認できない範囲は未確認事項、好みで変更する壁紙は任意変更という整理です。追加の理由が違うものを同じ欄へ入れないことがポイントです。
予備費は、一律の割合だけで決めない
工事総額の何%と置く方法は目安になりますが、それだけで十分とは限りません。未確認の場所、設備の状態、過去の修繕資料、工事の規模を業者と確認し、どんな追加が想定されるかを聞きます。
説明用の仮定として、当初工事150万円、予備費30万円なら用意する工事資金は180万円です。ただし、30万円が適正という意味ではありません。大きな不明点が残るなら、予備費を積む前に追加調査で範囲を絞ることも検討します。
追加連絡を受けたら、5点をそろえる
| 確認項目 | 聞きたい内容 |
|---|---|
| 理由 | 何が見つかり、なぜ工事が必要か |
| 範囲 | どこをどの方法で直すか |
| 金額 | 税込総額と、既存工事からの増減 |
| 工期 | 完成予定と他の工事への影響 |
| 選択肢 | 代替案や、すぐ対応すべき程度 |
写真や見積もりを受け取り、分からない点を質問します。現場で見つかった問題を疑うためではなく、何にお金を使うかを理解するための確認です。
承認前に、作業を進める範囲を決めておく
通常の変更は、内容と費用を確認してから合意する流れにします。緊急に被害拡大を防ぐ必要がある場面については、応急対応と本工事を分け、連絡方法と対応範囲を契約時に相談します。
住まいるダイヤルは、計画変更の都度、内容と費用を協議し、合意内容を文書に残すことを勧めています。電話で了承した場合も、その後に金額・範囲・日付を確認できる記録へまとめましょう。
追加だけでなく、減った工事も記録する
工事方法が変わり、当初予定の作業が不要になる場合もあります。追加額だけを足すのではなく、減額となる項目も含めて変更見積もりを確認します。最終的に何を施工し、何が取りやめになったかを一覧にします。
例えば、当初の設備を別製品へ変えるなら、旧製品分の扱い、返品や手配済みの費用、新製品の差額を確認します。「変更だからプラス」という一方向の見方をしないことが大切です。
予備費を超えたら、全体の採算へ戻る
追加が重なると、一件ごとは小さくても総額が増えます。変更一覧に累計額と残り予備費を書き、購入費を含む全体予算へ戻して確認します。家賃を都合よく引き上げて帳尻を合わせないようにしてください。
予算が厳しい場合は、安全や使用に必要な工事を先に確保し、任意の仕上げ等を見直せるか相談します。未完のままにできる範囲や契約上の条件もあるため、勝手に中断せず担当者と協議します。
連絡を受ける人を一人決める
家族や社内の複数人が業者へ別々の希望を伝えると、誰の指示が最終か分からなくなります。意見は内部でまとめ、変更を承認する担当者を決めます。担当者が不在のときの連絡方法も伝えておけば、現場の判断が止まる場面を減らせます。
着工前に決めること
- 未確認箇所と、追加があり得る項目。
- 変更の連絡先と、承認する人。
- 写真・見積もり・工期を共有する方法。
- 応急対応と通常変更の扱い。
- 変更累計と残予算の管理方法。
追加工事をゼロと決めつけるより、判断できる仕組みを用意するほうが現実的です。お金と連絡のルールを先に整えておけば、連絡を受けたときも落ち着いて検討できます。
