室内写真から荷物を消したり、仮想のソファを置いたりすると、暮らしを想像しやすくなることがあります。しかし、実際より広く新しく見える画像は、内見時の誤解につながります。加工する前に、何を変え、何を事実として見せるのかを確認しましょう。
撮影日に荷物が片付かないこともあります。空室の写真が寂しく見えることもあります。それでも、写真の見栄えを整えるために、借り手が知るべき状態を消してはいけません。
加工の目的を一つに絞る
生活のイメージを示したいのか、個人情報を隠したいのか、現況の整理が目的なのかを決めます。目的が曖昧なまま自動補正を重ねると、床の傷や壁の色まで変わることがあります。
| 加工内容 | 確認する点 |
|---|---|
| 仮想家具を置く | 設備付きと誤認しないか、家具寸法は妥当か |
| 荷物を消す | 隠れていた床や壁を事実なく生成していないか |
| 明るさを調整 | 実際の日当たりや色と違う印象にならないか |
| 外観を整える | 電柱、隣家、電線等を消していないか |
修繕前の傷を画像だけで消し、完成後の状態として使うことも避けます。直した箇所は、完了後に改めて撮影する方が事実を示せます。
「加工済み」と書けば使えるわけではない
首都圏不動産公正取引協議会の公取協通信第363号は、AIで電柱等を消した景観写真や、規模・形状等を実際より優良に見せる室内画像について注意を示しています。AI加工の注記があっても、実際と異なる誤認を招く表示が許されるわけではありません。
仮想家具を使う場合も、名称だけで広告への使用可否を判断せず、加工内容を仲介会社と掲載先へ示して確認します。家具が設置済み、部屋が広い、設備が新品と受け取られないかを見ます。画像の片隅へ小さな注記を置くだけで済ませないことが大切です。
配置図で伝えた方がよい場合もある
家具配置の検討なら、実寸に基づく平面図へ家具の寸法を入れる方法があります。写真に生成した家具を置くより、ドアの開閉や通路が分かりやすい場合もあります。
例えば幅140cmの机を置く想定なら、壁の有効幅、コンセント、扉との干渉を確認します。寸法は説明用の例です。置ける家具を小さく描いて広く見せず、配置案であることと家具が付属しないことを明確にします。現況写真も別に用意しましょう。
元画像と変更履歴を保管する
加工前の写真、撮影日、変更箇所、確認者を保存します。仲介会社へ渡すときは、現況写真と参考画像をファイル名から区別できるようにします。加工版だけが転送され、説明が落ちることを想定しておくと安心です。
本人の写真や郵便物等が写っている場合は、無断公開を避けます。個人情報のマスキングも、物件の状態まで消す処理と混ぜないようにします。入居中なら撮影や利用の承諾範囲も確認してください。
掲載後の見え方まで確認する
一覧画面では注記が切れたり、画像が縮小されたりします。実際の掲載画面で、参考画像という説明が読めるか、現況写真へ進めるか確認します。説明が伝わらない掲載形式なら、加工画像の利用方法を見直しましょう。
まず使いたい画像を原写真と並べ、床・壁・窓・設備・外の景観を一つずつ照合してください。借り手が現地で確認する判断材料を残せるかが、見栄えより先に確認するポイントです。
