「火災保険を使えば、自己負担なしで屋根を直せます」。こう勧められたら、その場で工事や申請代行を契約せず、まず加入先の保険会社か代理店へ確認しましょう。修理業者が保険金の支払を決めるわけではありません。

古い戸建てでは修繕費が気になるため、無料という言葉は魅力的です。ただ、保険金が出なくても工事代や代行料が残る契約なら、予定外の支出につながります。

保険の請求と工事の契約を分ける

何が損傷しているか、原因は何か、保険契約の対象になるかを確認する手続と、誰にいくらで修理を頼むかは別です。保険金請求のサポートを受ける場合も、そのサービスの内容と費用を独立して確認します。

確認する契約見る条件
修理工事工事範囲、総額、着工時期、追加費用
申請支援・代行作業内容、報酬の計算、支払時期
解約いつ、どの金額が発生するか
保険金不払い時工事・報酬の負担がどうなるか

委任状や確認書という名前でも、費用や契約の条件が含まれていることがあります。署名する前に全文を読み、控えを受け取ってください。

分からない原因を災害被害と断定しない

経年劣化による損傷と、保険対象となる事故による損傷は同じではありません。「古い傷でも台風の日に壊れたことにすればよい」などの提案には応じません。確認していない発生日や原因を、事実のように申告しないことが大切です。

写真、点検記録、過去の修理履歴を保管し、分からない部分は不明と伝えます。業者が作った申請資料も、提出前に自分で内容を確認しましょう。虚偽の内容で請求することは、契約上・法律上の問題につながります。

金額は保険金と手数料を分けて見る

仮に保険金が50万円、支援報酬がその30%なら、報酬は15万円です。工事へ使える額は、他の支払がないとして35万円になります。税の扱いや最低報酬、工事契約等によって実際の条件は変わるため、この例を相場とは考えません。

「保険金の中から払うので無料」という説明でも、手元へ残る金額は減ります。支払前に報酬を請求するのか、保険金が減額された場合にどうなるのかも確認します。

既に署名していても、資料を集めて相談する

不審に感じたら、契約書、広告、連絡履歴、請求書をそろえ、保険会社や法律専門家などへ相談します。消費者向けの制度が事業としての契約にも同じように適用されるとは限らないため、大家という立場で契約した内容を伝えてください。

応急措置が必要な被害については、保険会社へ連絡し、修理前に何を記録すればよいか確認します。勧誘への対応と、安全確保のための手配を混同しないようにします。

まず保険証券にある正規の連絡先へ、勧誘内容をそのまま伝えましょう。「保険が使えるか」と「この業者と契約するか」を分けることが、納得できる修理につながります。