入居者から「賠償保険に入っています」と言われても、それだけでは借りている建物への責任に備えられているか分かりません。借家人賠償責任と個人賠償責任は、確認する相手と対象が違います。保険の名前、補償の内容、期間を分けて見ましょう。

似た名称が並ぶため、入居者も大家も混同しやすいところです。加入の有無だけをチェックするより、誰に対する何の責任を補償するのかを共有する方が、行き違いを減らせます。

借りた建物への責任か、第三者への責任か

借家人賠償責任の補償は、借りた住まいに損害を与え、家主へ法律上の損害賠償責任を負う場合に備えるものです。個人賠償責任の補償は、日常生活で他人にけがをさせたり他人の物を壊したりして、法律上の責任を負う場合に備えます。

種類確認する対象混同しないこと
借家人賠償借りた住まいについて家主へ負う責任自分の家財そのものの補償とは別
個人賠償日常生活で第三者へ負う責任借りた住まいへの責任と同一ではない
家財保険契約対象となる入居者の持ち物賠償責任の補償とは別

これは役割を整理する表です。実際に対象となる事故や除外事項は商品によって異なり、表に当てはまるだけで保険金の支払が決まるわけではありません。

事故名だけで補償を決めない

たとえば漏水でも、大家の設備故障なのか、入居者の使用に関するものなのか、どこに損害が出たかによって確認事項が変わります。「水漏れだから個人賠償で全額」という説明は避けましょう。

借家人賠償で扱う事故の範囲、修理費用に関する別の補償、免責金額なども確認します。保険会社へは事故の状況を伝え、どの補償の検討対象になるか聞いてください。先に大家と入居者で支払額を確約してから保険へ回す流れにしないことが大切です。

確認は必要な情報に絞る

入居時には、契約上求める補償内容と、保険期間、対象物件、被保険者を確認します。入居者が別の保険を選ぶ場合も、商品名だけで可否を決めず、必要条件に合っているかを確認します。

個人賠償の特約は他の保険に付いていることもありますが、その契約が借家人賠償の代わりになるとは限りません。また、家族まで対象となる範囲も商品ごとに確認が必要です。不要な家族情報や他の契約内容まで集めず、必要な欄を確認する方法にしましょう。

更新切れと契約変更を確認する

入居期間より保険期間が短い場合は、満期前に更新状況を確認する運用を決めます。同居人や契約名義が変わった場合も、補償対象とのずれがないか入居者から保険会社へ確認してもらいます。

大家自身の建物保険も併せて確認してください。入居者が賠償保険へ加入していることと、大家の建物の損害がいつでも補償されることは別です。

まず保険確認表に「借家人賠償」「個人賠償」「家財」の三行を作ってください。それぞれ対象、限度額、保険期間、確認日を記録すると、加入済みという一言から具体的な確認へ進めます。