隣から火が出て貸家に被害が出たら、修理費は相手が払ってくれる。そう決めて資金計画を立てるのは避けましょう。火元の賠償責任が認められるかと、自分の建物保険で補償されるかは、分けて確認する必要があります。
自分の物件で火の管理を徹底していても、周囲から延焼する可能性は残ります。被害が出てから責任関係を調べるだけでなく、普段から保険の対象と連絡先を確かめておきましょう。
火元だから必ず賠償、とは限らない
日本損害保険協会は、隣家からのもらい火について、火元に故意や重大な過失がない場合には損害賠償を請求できないことがあると説明しています。失火責任法により、失火に関する不法行為責任が制限されるためです。
ただし、重大な過失に当たるかなどは個別の事情によって判断されます。「火事なら全て責任がない」という意味でもありません。事故原因を独自に決めつけて、相手への請求や権利放棄の約束をすることは避け、保険会社や法律専門家へ相談します。
大家の建物と入居者の家財を区別する
| 確認する対象 | 主な確認先 |
|---|---|
| 大家所有の建物 | 大家の火災保険の対象・金額・条件 |
| 入居者の家具や持ち物 | 入居者の家財保険 |
| 使えない期間の家賃等 | 家賃損失等の特約と支払条件 |
| 火元の賠償責任 | 原因資料、法律関係、保険会社等 |
入居者が火災保険へ加入していても、それだけで大家の建物が十分に補償されるとは限りません。保険証券には誰の何を対象にしているかが記載されています。保険名だけで判断せず、物件の住所、用途、構造も現状と一致しているか確認します。
賃貸借契約上の責任は別の問題
入居者自身が火災を起こした場合の大家との契約上の責任と、隣家への不法行為責任は同じではありません。失火責任法だけを根拠に、借りている建物への責任も全てなくなると理解しないことが大切です。
この違いから、借家人賠償責任の補償なども確認事項になります。ただし、個別の事故で誰にどの責任があるか、どの保険が支払われるかは契約と事実の確認が必要です。大家の建物保険を、入居者の補償で置き換える前提にはしません。
被害時は安全と保険連絡を先に進める
火災時は消防等の指示に従い、安全が確保される前に現場へ入って写真を撮らないようにします。落ち着いたら保険会社へ連絡し、必要書類、写真、修理前の確認事項を聞きます。応急措置が必要な場合は、その内容と記録方法も相談してください。
入居者との連絡窓口、建物の使用可否、修理日程も整理します。家賃や退去の扱いは、被害状況と契約を踏まえて別途確認します。保険金の見込みだけで、復旧費を確定した収入として計上しないことです。
まず今の証券で、建物の補償と家賃損失の扱いを確認してください。もらい火でも自分の契約へ連絡できるよう、物件台帳に事故受付の窓口を残しておきましょう。
