空き家を買う前に建物を調べてもらうと安心ですが、「調査済み」の一言だけで購入を決めるのは早いかもしれません。既存住宅状況調査は、建物の全ての不具合や将来の故障を保証するものではないからです。何を調べ、何が残ったのかを報告書で確認しましょう。

専門用語が多くても、最初に読む場所を決めれば内容をつかみやすくなります。結果の良し悪しだけでなく、対象範囲と調査できなかった部分をセットで見ることが重要です。

調査の名前と実施者を確認する

国土交通省は、講習を修了した建築士である既存住宅状況調査技術者が、定められた方法基準に従って調査する制度を案内しています。一般に「インスペクション」と呼ばれるサービスでも、調査内容や追加メニューが同じとは限りません。

依頼前に、今回のサービスが既存住宅状況調査に当たるのか、追加調査を含むのかを確認します。基本となるのは、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の劣化事象等の調査です。設備や法令適合性なども全て調べる契約だと推測しないようにしてください。

報告書で読む欄次に聞くこと
劣化事象等の有無場所、程度、追加調査の必要性
調査できなかった部分理由と、確認するために必要な準備
対象外の項目別途確認すべき設備や条件
実施日・調査条件その後の変化や資料の不足

「調査できない」を問題なしに読み替えない

家具や残置物で隠れている、点検口がないなどの事情で、確認できない部分があります。その場合は「不具合なし」と同じ意味ではありません。何が見えなかったかを図面と写真で教えてもらいましょう。

説明用の仮定として、床下の一部が確認できなかった物件なら、残置物の撤去や点検口の確保で見られるか、別の調査が必要かを相談します。購入前に追加調査できないなら、その不確実性を予算と購入判断に残します。

原因と修繕費は別に相談する

ひび割れや雨染みが報告された場合、調査結果だけで原因や修繕方法が確定するとは限りません。必要に応じて詳しい調査や工事業者の見積もりにつなぎます。反対に、調査時に劣化事象が見つからなかったことも、将来の不具合が起きない保証にはなりません。

耐震診断、地盤の確認、給排水や電気設備の動作確認などを希望するなら、含まれる範囲を依頼時に確認してください。「住宅全体を見ます」という説明を受けたら、対象項目が分かる書面をもらうと認識をそろえやすくなります。

購入判断用の三つの欄に整理する

報告後は「確認できた状態」「追加で調べる項目」「購入後に対応する項目」に分けます。追加調査の費用と日数、修繕の概算が分かれば、物件価格だけでは見えなかった総支出を考えられます。

まず調査を依頼する相手へ、「対象範囲と対象外、調査できなかった部分の報告方法を教えてください」と聞いてみましょう。調査を安心材料の一言で終わらせず、次の判断に使うための質問です。