物件状況報告書に大きな問題が書かれていないと、建物は大丈夫だと感じるかもしれません。ただし、売主が把握している情報と、専門家が現在調査した結果は別のものです。
報告書は単独で読まず、内覧の記録と修繕履歴を照合すると役立ちます。矛盾を探して責めるためでなく、追加で調べる場所を明確にする作業です。
記載日と回答の範囲を確認する
いつ、誰が、どの期間の経験をもとに記入した資料かを確認します。相続した家など、売主が長く住んでいない場合は、分からない事項があることも考えられます。
「不明」「なし」「修理済み」を同じ意味にしないでください。空欄も、異常なしの回答とは限りません。設備の動作を確認できていない項目には、その状態を明記してもらいます。
三つの資料を一列に並べる
| 報告書の内容 | 照合する記録 | 追加質問 |
|---|---|---|
| 雨漏り修理済み | 天井写真、工事明細 | 箇所、時期、原因、修理後の状況 |
| 設備故障なし | 内覧時の動作確認 | 未確認の設備が含まれていないか |
| 増改築あり | 図面、確認資料、現況 | 工事範囲と保存資料 |
| 境界等は不明 | 測量資料、現地写真 | 誰へ追加確認するか |
東京都の案内では、図面、点検、修繕等の住宅履歴を引き継ぐことが推奨されています。報告書の一言を、保存資料で具体化していきましょう。
「修理済み」の中身を確認する
いつ、どこを、何のために修理したかを聞きます。同じ屋根工事でも、塗装、部分補修、下地を含む交換では範囲が違います。請求書に工事名だけがある場合は、写真や見積内訳がないか確認します。
たとえば「天井のしみを補修した」という仮定例では、仕上げを直したのか、漏水の原因にも対応したのかが分かりません。自分で後者まで補って理解せず、工事内容を聞いてください。
内覧で気になった点は写真番号で聞く
「雨漏りは本当にありませんか」と繰り返すより、「二階北側の写真三番のしみについて、発生時期や工事歴は分かりますか」と聞く方が具体的です。場所が特定できれば、売主も過去資料を探しやすくなります。
説明が食い違う場合は、どちらかをすぐ誤りと決めず、時点や対象箇所が同じかを確認します。解消しなければ専門調査へつなぎ、確認前の推測を購入の前提にしないようにします。
契約時点の最新版と対応条件を残す
追加回答で内容が変わったら、更新された資料を受け取ります。口頭説明のメモだけに頼らず、契約に関わる重要な条件はどの書面へ反映するかを確認してください。
引渡しまでに直す箇所があれば、対象、方法、完了確認、未完了時の扱いを担当者と整理します。申告資料があることと、売主がすべて修理すると約束したことは別です。
まず報告書の「不明」「修理済み」「空欄」に印を付け、写真や履歴を対応させてみましょう。分かった点と未解決の点を分ければ、次の調査にかける時間と費用を考えやすくなります。
