入居時に家賃と敷金が一緒に振り込まれると、残高が増えます。しかし、敷金をそのまま自由に使える家賃収入として数えないようにします。契約ごとの預り額と、精算後に返す可能性がある金額を管理することが必要です。

振込合計を費目へ分ける

まず契約書や入金明細と照合し、家賃、共益費、敷金、その他の費用を分けます。管理会社からまとめて送金される場合も、差引額だけでなく内訳を確認します。入金元と対象契約が分からないものは、推測で家賃へ入れないようにします。

税務上も返還を要する部分と返還不要の部分では取扱いが異なります。敷金という名称だけで一律に判断せず、契約上の性質を確認します。ここでは、返還の可能性がある敷金の資金管理を中心に扱います。

物件ではなく契約ごとに台帳を作る

欄残す情報
契約物件、借主、開始日
受領金額、受領日、保管・管理先
変更追加受領や合意した変更の記録
精算控除の根拠、返還額、確認状況
返還返還先、日付、送金記録

同じ物件でも入居者が替われば別の契約です。前の契約の精算が残ったまま、新しい敷金と合算してしまわないようにします。

残高の例で自由資金との違いを見る

仮に口座に40万円あり、うち敷金として預かっている額が10万円、発注済み工事の未払が15万円とします。これらを考慮すると、未配分の現金は15万円です。ただし、税や返済、今後の修繕などは別に確認が必要です。

敷金10万円を新しい物件の購入資金にも数えると、退去時の返還原資が足りなくなるおそれがあります。口座を分けるかどうかにかかわらず、残高の内訳が分かるようにしましょう。この記事は、すべての大家に特定の口座分別が法的義務だと示すものではありません。

退去時は控除額を先に決めない

「敷金を預かっているから、この範囲で全部修理しよう」と考えず、原状回復の必要性と借主負担を確認します。工事総額と借主が負担する額は同じとは限りません。入居時の記録、損耗の原因、経過年数、契約等を照合します。

未払い家賃等がある場合も、対象月と金額を確認し、どの債務へ充当するかを整理します。精算書には受領額、控除項目、根拠、返還額を示し、不明な点は管理会社や専門家へ相談します。

管理会社にある金銭も把握する

敷金を管理会社が預かる契約なら、現在の残高と返還手続、委託終了時の扱いを確認します。大家へ送金されていないから関係ない、と台帳から外さないようにします。報告書の残高を、契約別の記録と照合します。

管理会社の変更や物件売買では、預り金の引継ぎが必要になります。誰がいくらを引き継いだか、入居者への案内と整合しているかを確認し、同じ金額を二重に返したり、どちらも返せない状態にしたりしないようにします。

返還予定を資金繰りへ入れる

退去の連絡を受けたら、精算が未確定でも返還用の現金を確認します。修理費が控除できるはずという期待だけで資金を減らさず、確定した内容へ順に更新しましょう。

まず現在の全契約について、敷金の受領額と管理先を一枚にまとめてください。通帳の残高から返還の可能性がある資金を見分けることが、無理のない資金計画につながります。