「安い空き家を買って、直して貸す。面白そうだけど、何から始めればいいの?」

空き家再生に興味を持つと、まず物件を探したくなりますよね。
古い家がきれいになって、誰かがそこで暮らし始める。想像すると、楽しくなってきます。

始める順番は、借り手の需要を調べる、建物を確認する、総費用を見積もる、収支を考える、管理体制を決める。この5つです。

候補を探しながら、購入前にここまで確認しましょう。
この記事では、住宅として貸し出す空き家再生を想定して、初心者が最初にすることをお伝えします。

1.まず「この家に住みたい人はいるか」を調べる

安い物件を見つけると、「これはお得かもしれない」と思います。

そこで一つ、考えてみてください。

この家を借りる人は、どんな暮らしをするでしょうか。

車を使う家族なら、駐車できる台数が気になるかもしれません。
ペットと暮らしたい人なら、飼育条件や室内の使いやすさが大事になるでしょう。

まずは、候補物件の周辺で募集されている戸建て賃貸を見てみます。
家賃だけでなく、広さ、間取り、駐車場、設備、建物の状態をそろえて比較してください。

ただし、掲載されているのは募集家賃です。その金額で実際に契約できるとは限りません。

そこで地元の賃貸仲介会社に、物件資料を見せて聞いてみましょう。

「この場所で、この広さの戸建てを探す方はいますか?」
「どのような家族構成の方が候補になりますか?」
「募集するとしたら、家賃と設備はどの程度を考えますか?」
「似た物件は、どれくらいの期間で決まっていますか?」

できれば複数の会社に聞き、意見が違うところは理由も確認します。
ここで、直すべき場所の見当もつけやすくなります。

2.見た目を整える前に、建物の状態を確認する

壁紙を替えて、床をきれいにして。
リフォームを考える時間は楽しいものです。

ただ、その前に確認したいのが、雨漏り、床の沈み、水回りの不具合などです。
表面がきれいになっても、原因のある不具合を残せば、入居後の修理につながります。

内見では、気になった場所を写真とメモに残してください。

天井に染みがあるなら、いつからあるのか。
修理歴があるなら、どこを、いつ、どう直したのか。
設備が使えるという説明なら、実際に動作を確認できるのか。

見ただけで安全性や修繕費を判断するのは難しいため、建物の状態は建築士や施工業者に確認しましょう。道路、境界、権利関係、利用上の制限も、仲介会社などに資料で確認します。

購入するかどうかの判断は、修理の内容と費用を把握してからです。

3.購入価格に、貸し出すまでの費用を足す

「物件が安い」ということと、「少ない費用で貸せる」ということは別に確認する必要があります。

購入代金のほかに、取得時の諸費用、残置物の片付け、修繕、募集までに必要な支出を整理しましょう。

リフォームの見積もりでは、次の三つに分けてもらうと検討しやすくなります。

  • 安全や生活に関わり、先に直す必要があるもの
  • 想定する借り手のために整えるもの
  • 見た目をさらに良くするために追加できるもの

例えば、設備をすべて新品にする前に、使えるものがないか確認する。
一方で、水漏れのように暮らしに支障が出る問題は、後回しにしない。

「全部きれいにする」だけでなく、「誰が、どのように暮らせる家にするか」を業者と共有することが、工事を考える出発点です。

4.家賃が入った後の支出まで考える

毎月家賃が入るようになっても、その全額を自由に使えるわけではありません。

管理費用、税金、保険、修理への備え。借入があれば返済もあります。
入居者が決まるまでの期間や、退去後の空室期間にも支出は続きます。

まずは、想定家賃と年間の支出を一枚に書き出してください。
そのうえで、次の条件でも持ち続けられるかを確認します。

  • 想定より家賃が下がったら
  • 入居が決まるまで時間がかかったら
  • 予定外の修理が必要になったら

借入を使う場合は、返済条件も含めて試算します。
物件に使うお金と、生活費や緊急時に残すお金も分けて考えましょう。

国土交通省の計画修繕ガイドブックでも、将来の修繕に備えて計画を立てる考え方が示されています。戸建ての実際の修繕内容・時期・費用は、建物ごとに確認してください。
参考:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」
国土交通省の参考資料(PDF)

空室や修繕があっても耐えられる収益の余裕を、購入前に確認しましょう。

ただし、広告に高い利回りが書いてあれば合格、という意味ではありません。
購入価格に諸費用と初期修繕費を加え、現実的な家賃と運営費で計算する。さらに空室や追加修繕、借入返済も見込んで、お金が残るかを確かめる。

安く買い、必要なところを直し、支出に耐えられる収益を確保する。
この順番で、一軒ずつ判断していきましょう。

5.入居後に「誰が対応するか」を決める

入居者から設備の不具合の連絡が来たとき、誰が受けるのか。
修理が必要になったとき、誰が業者を手配するのか。

こうしたことも、貸し出す前に決めておきたい部分です。

管理会社に依頼するなら、月額の費用だけで比較せず、対応する仕事の範囲を聞きましょう。
募集、家賃の管理、修理の連絡、退去時の対応など、どこまで含まれているかを確認します。

自分で管理する場合も、修理を相談できる業者や、留守のときの連絡先を用意しておきます。

任せられる仕事を整理すれば、仕事や家事と両立できるかも考えやすくなります。

最初の一歩は、気になる物件を一つ調べること

全部を一度に覚えようとすると、難しく感じるかもしれません。

まずは、気になる物件を一つ選んで、次のメモを作ってみてください。

  • どんな人が借りそうか
  • 家賃と募集期間について、誰に確認したか
  • 建物の不具合と修繕費は分かっているか
  • 貸し出すまでの総費用はいくらか
  • 空室や修理に備えるお金は残せるか
  • 入居後の対応を誰に頼むか

空欄があれば、次に調べることが分かります。
数字が合わなければ、購入を見送る判断もできます。

空き家再生の第一歩は、こうして一つずつ、分からないことを確かめていくことです。