十二月に工事が終わり、請求書は一月に届いた。反対に、十二月に前金を払い、工事は翌年まで続いた。どちらも、通帳の支払日だけでは、その年の経費を判断できません。工事の内容と進行を日付で整理しましょう。
年末は業者も大家も忙しく、請求書がそろうのは年明けということがあります。だからこそ、年末時点で何が完了し、いくらの支払義務が確定しているかを残しておくと、申告時の確認が進みます。
一つの工事に四つの日付を持たせる
工事番号や物件名を付け、契約、完了確認、請求、支払の日付を別々に記録します。追加工事がある場合は、元の見積だけでなく、承認した内容と金額も添えます。
| 日付・資料 | 確認すること |
|---|---|
| 契約・発注 | 工事範囲、金額、支払条件 |
| 完了・検収 | 実施した内容、未完了部分、確認記録 |
| 請求 | 確定額、追加・減額、請求対象 |
| 支払 | 前払・中間・残金の区別、振込記録 |
「年内工事一式」だけでは、何をいつ終えたのかが分かりません。写真や完了報告、業者とのメールも保存します。
支払っていなくても、確認が必要な費用はある
国税庁は、原則として、その年に債務が確定した金額を必要経費とする考え方を示しています。債務が成立し、具体的な給付の原因となる事実が発生し、金額を合理的に算定できることなどを確認します。
仮に修繕費として扱う工事12万円が年内に完了し、年内に債務が確定していて、支払が翌年だった場合、年末に未払として処理する検討が必要です。翌年に12万円を払った際は、その未払を消す記録と照合し、同じ工事を再び経費にしないようにします。実際の判断は契約・完了状況を確認してください。
前払いしたから全額経費、とは考えない
年内に20万円を前払いしても、工事がまだ行われていないなら、支払だけを根拠に全額をその年の修繕費へ入れるものではありません。前払額と、実際に完了した内容を分けます。
一部だけ終わった工事も、全体の何割が進んだという印象だけで配分しません。契約上の区分や出来高、引渡し、金額の確定状況などを税理士へ示して確認します。税務上の年分を合わせるために、実際と違う完了日を業者へ記載してもらうことは避けてください。
計上時期と修繕費の分類は別に確認する
年内に完了したとしても、工事内容によっては資本的支出として減価償却する扱いになります。「いつ計上するか」と「何として処理するか」を分けて相談します。使用開始時期が関係する場合もあるため、設備を使い始めた日も記録しましょう。
年末一覧には、工事総額、支払済額、未払見込額、未完了事項を並べます。翌年の請求で金額が変わったら、理由と資料を添えて確認し、古い数字を黙って上書きしないようにします。
まず年末時点で動いている工事を一覧にし、各業者へ完了状況と請求予定を確認してください。四つの日付がそろえば、通帳だけでは見えない未払と前払を整理できます。
