入居者が亡くなったとの連絡を受けたときは、安全上の対応と、契約上の手続を分けて進めます。連絡を受けた時点で退去が完了したものとして扱わず、管理会社と情報を整理し、手続を行える相手を確認しましょう。
突然のことで、大家も動揺します。ご家族への配慮をしながら、多くの判断を一度に行う必要はありません。まずは窓口を一本化し、確認できたことだけを記録します。
最初の連絡では安全と連絡元を確認する
まだ救命や安否確認が必要な段階なら、状況に応じて消防・警察へ連絡します。死亡の連絡を受けている場合も、誰から、いつ、どのような内容を聞いたかを記録します。関係者を名乗る電話だけで、鍵や契約情報を渡さないようにしてください。
| 確認すること | 記録の内容 |
|---|---|
| 連絡元 | 氏名、所属、本人との関係、折返し先 |
| 現地の状況 | 関係機関の対応、漏水などの安全上の問題 |
| 窓口 | 管理会社担当者、大家側の連絡担当 |
| 契約資料 | 契約種別、緊急連絡先、保証関係、委任契約 |
原因などの詳細を必要以上に聞き出したり、未確認の情報を近隣へ伝えたりしないことも大切です。対応記録はアクセスできる人を限定して保管します。
死亡と同時に契約が終わるとは限らない
一般の賃貸借契約では、入居者が亡くなると賃借権などは相続の対象になります。死亡の連絡だけをもって、大家が一方的に解約済みと扱うことはできません。特殊な契約もあるため、契約の種類と条項を確認します。
緊急連絡先の方が、そのまま解約や家財処分の権限を持つとは限りません。相続人や、あらかじめ有効な委任を受けている人など、誰と何の手続を進められるかを確認します。相続関係が不明、相続放棄の話が出ている、関係者間で意見が異なる場合は、法律専門家へ相談します。
国土交通省と法務省には、契約解除や残置物処理のためのモデル契約条項があります。ただし、事前の契約や定められた手順を確認して使う仕組みです。資料が存在することを理由に、大家が家財を自由に処分できるわけではありません。
鍵・家財・費用を別々に記録する
鍵の所在、室内確認の必要性、家賃の入金状況、保証会社への通知事項を一覧にします。鍵を誰かが返したことだけで、解約や家財所有権の放棄まで確認できたと考えないようにしましょう。
清掃などを手配する場合も、作業の必要性、依頼権限、費用の支払者、家財の取扱いを確認してから進めます。緊急の安全措置が必要なときは、関係機関や専門家の助言を受け、実施理由と内容を残してください。
ご家族には一度に全てを求めない
連絡文は「このたびはお悔やみ申し上げます。住居に関する窓口を担当します。お手続を進める方と、ご連絡が可能な時期を確認させてください」など、次の連絡に必要な内容に絞ります。
最初に作るのは、処分や再募集の予定表ではなく、連絡先と未確認事項の一覧です。契約書、保証関係書類、対応記録を一つにまとめ、管理会社と次の確認担当を決めましょう。
