空き家の修繕見積もりが大きくなり、いっそ解体した方がよいのか迷うことがあります。しかし、修繕費と解体費の二つだけを比べても、その後のお金の流れは分かりません。
比較したいのは、各案でどんな状態を作り、その後どう使うかです。建物を残す案と、解体後の利用まで含む案を並べましょう。
修繕案は貸せる状態までの総額にする
構造や雨水、設備等の確認を行い、必要な修繕と見た目の改善を分けます。内装だけを整えた金額では、賃貸準備の費用を過小に見る場合があります。
需要、想定家賃、管理、今後の修繕も確認します。古いから必ず解体、安く直せるから必ず賃貸という結論を先に置かず、建物と地域の条件を調べます。
解体案は更地にした後まで計算する
| 比較する費用 | 修繕して使う案 | 解体する案 |
|---|---|---|
| 初期調査 | 建物・設備等の調査 | 建材・解体範囲等の調査 |
| 本工事 | 修繕・改修 | 解体・撤去 |
| 付帯費 | 片付け・募集準備等 | 設備切離し・整地・手続き等 |
| 以後の費用 | 管理・修繕・税等 | 土地管理・税・次の利用工事等 |
| 収入 | 賃料等の見込み | 次の用途に応じた見込み |
更地にすれば管理が不要になるわけではありません。草や不法投棄等への対応、次の利用が決まるまでの保有費も考えます。
解体後の建築や利用を先に確認する
再建築や土地利用の条件を調べずに解体すると、予定していた活用ができない可能性があります。道路、法令上の制限、敷地等について、建築士や行政窓口へ確認します。
駐車場にする案なら、出入り、寸法、舗装や排水、地域の需要等が別の検討になります。解体費だけで駐車場が完成すると考えず、次の用途の工事費を加えてください。
税の変化は所在地で試算を相談する
横浜市の案内では、住宅の取り壊し後に住宅用地の特例が受けられなくなり、土地の税額が変わる例が示されています。一方で建物にかかる税や個別条件も関係するため、現在の税額を単純に何倍と決めつけることはできません。
所在地の税務担当窓口へ、解体時期と次の用途を伝えて確認します。建替え等の扱い、申告や登記手続き、補助制度の有無も個別に調べ、未確定の支援額を先に差し引かないようにします。
未確認費用を同じ方法で扱う
修繕案だけ予備費を入れ、解体案では地中のものや残置物等を考えないと比較が偏ります。どちらの案も、確認済み、見積待ち、発生条件不明を分けます。石綿等の事前調査と必要な対応も含めて相談してください。
仮に修繕後の賃料収入を見込むなら、空室や管理等の支出を差し引いて考えます。解体後すぐ売れると仮定する場合も、根拠と売却までの保有期間を示します。都合のよい収入だけで一方を有利にしないことが大切です。
まず各案について、完成状態、初期費用、年間収支、未確認事項を一枚にまとめましょう。判断材料が足りなければ、必要な調査を先に依頼し、解体という戻せない工事の発注を急がないことが重要です。
