壁に穴を開けるだけ、床を一部直すだけ。小さな工事なので石綿の確認は関係ないと思っていませんか。古い空き家の改修では、工事範囲を伝え、着工前に必要な調査を確認することが大切です。
発注者の最初の役割は、業者が調査できる資料と時間を用意し、費用と結果を確認することです。自分で建材を削って確かめる必要はありません。
調査と行政への報告を分けて理解する
厚生労働省は、原則として工事規模等にかかわらず対象箇所の事前調査が必要と案内しています。一方、行政への調査結果報告には一定規模以上という条件があります。
たとえば建築物の改修工事では税込百万円以上が報告対象の一つですが、それ未満なら調査不要という意味ではありません。具体的な工事での対象、調査方法、資格、報告や届出を業者へ確認してください。例外や別の法令・自治体の扱いを、自分の判断だけで当てはめないようにします。
調査の相談に必要な資料を集める
| 用意するもの | 役立つ内容 |
|---|---|
| 工事計画 | 穴あけ、撤去、交換等を行う場所 |
| 建築資料 | 図面、建築時期、使用材料 |
| 改修履歴 | 後から張った材料や交換時期 |
| 現地条件 | 立入、残置物、見えない箇所 |
| 過去調査 | 対象範囲と結果の報告書 |
過去の調査があっても、今回の工事箇所や材料まで対象だったかを確認します。「以前調べた家」だからすべて済んでいるとは限りません。
誰がどの方法で調べるかを聞く
書面と現地の確認、必要に応じた分析等があり、含有の有無が確認できない場合の扱いも業者が法令に沿って判断します。調査を行う人の資格や対象範囲、報告書の受領方法を確認しましょう。
築年や写真だけを見て含有の有無を即断しないことが大切です。採取が必要な場合も、発注者が試しに切る、剥がす、砕くといった作業を行わず、適切な手順を持つ専門家へ任せます。
見積もりは調査と工事を分けて読む
厚生労働省の発注者向け案内は、事前調査費用が見積もりに計上されているかを確認するよう示しています。書面調査、現地調査、分析、報告等の範囲を聞きます。
含有が確認された場合に、工法、安全対策、処分、費用、工期がどう変わるかも説明を受けます。仮見積もりの段階で未確定の項目は、そのまま確定額として予算を組まないようにします。
結果が出てから工程を確定する
調査前に解体を始める、内装の納品日だけ先に固定する等の進め方は避けます。調査と必要な手続きの期間を工程へ入れ、賃貸募集の開始日にも余裕を持たせます。
説明用に、当初予定より追加対応が必要となった場合は、工事を急がせるより、内容と金額を確認して変更合意を残します。調査結果を無視して費用だけ削ることはしません。
まず施工業者へ「今回触る建材の調査範囲、担当者、費用、結果説明の予定を教えてください」と聞いてください。制度を丸暗記するより、今回の工事が適切に準備されているかを確認することが重要です。
