玄関の上がり下りや廊下の段差が気になると、手すりを付ければ暮らしやすくなると考えることがあります。ただ、使う人の動きに合わない位置や、不十分な固定では、期待する改善になりません。

まず、どこでどんな動作を助けたいかを整理します。その後に、下地や通路、建具との関係を確認し、施工方法を専門家へ相談しましょう。

動作を場所ごとに書き出す

立ち上がる、靴を履く、段差を越える、方向を変えるなど、同じ玄関やトイレでも必要な動きは違います。特定の入居者から相談を受けているなら、本人の希望を聞き、必要に応じて専門職の助言も得ます。

場所確認する動き周辺で見る点
玄関靴の着脱と上がり下り扉、収納、足を置く空間
トイレ立つ・座る・向きを変える便器位置、壁、動作空間
廊下歩く・曲がる幅、建具、照明
浴室等濡れる場所での移動製品の用途と壁の状態

一般的な高さを一つ聞いて、すべての場所へ同じように付けるのではなく、利用場面と現場条件で確認します。

壁の表面と固定できる下地を分ける

TOTOの案内でも、手すりはタイル等の仕上げだけでなく、必要な強度のある下地へ取り付けることが示されています。壁が硬く見えることや、ねじが入ることだけで、適切に固定できるとは判断しません。

施工業者へ、下地の確認方法と、補強が必要な場合の工事範囲を聞きます。製品ごとの条件に合わせ、費用には下地補強や仕上げの復旧も含むかを確認してください。体重を支える設備なので、所有者が自己流で取り付ける前提にしないようにします。

段差は高さだけでなく前後の空間を見る

小さな段差でも、扉の開閉や曲がり角と重なると使いにくさが生じる場合があります。反対に、段差をなくすための部材が通路へ大きく出ると、別の障害になることもあります。

床のかさ上げ、敷居の変更、補助部材等を検討する場合は、建具や排水、防水等への影響を施工担当者へ確認します。市販品を置くだけの案も、ずれや固定、製品の用途を確認し、合わない状態で使わせないようにします。

工事の優先順位と賃貸上の扱いを決める

すべての部屋を一度に変えるより、具体的に困っている動作から検討します。入居者がいる場合は、工事日、立会い、使えない時間、費用負担、退去時の扱い等を整理して合意を残します。

介護保険や自治体の制度が関係する場合も、対象者や工事内容、申請時期等を窓口へ確認します。大家が設備を付ければ必ず支援が使えると考えず、本人と担当窓口を中心に条件を確認してください。

完成後は取り付けた場所で使い方を確認する

施工担当者から固定状態と使用上の注意を説明してもらいます。本人に合う改善を目指した場合は、専門職等の助言も踏まえて使い勝手を確認します。使い始めてからの緩み等の連絡先も渡します。

まず間取り図へ「ここで何がしにくいか」を書き込んでみましょう。設備の購入から始めるより、動作と建物の条件を共有することで、必要な工事を選びやすくなります。